声には、エネルギーが宿る

― 言葉の奥に流れている“気”を感じ取った日のこと ―

同じ言葉を話しているのに、なぜ伝わり方が違うのか?

「ありがとう」「大丈夫だよ」「またね」
ごく普通の言葉たちなのに、発する人によって、こんなにも“伝わり方”が違うのはなぜなのでしょうか。

ある人が言う「ありがとう」には、どこか温かさがあって。別の人が言うと、同じ言葉なのに機械的に聞こえてしまったりする。

言葉の意味は同じなのに、なぜ印象が変わるのか?

その理由は――言葉だけでなく、「その人の声に乗ったエネルギー」も同時に届いているからです。

声には、その人の「今の状態」「感情」「無意識の思い」が乗っている。それは言葉以上に、相手の心に直接影響を与えているのかもしれません。

想いを届けたくて録音した、あのときの声

昔、大切に思っていた人がいました。

その人にどうしても伝えたい想いがあり、私はある方法を試してみました。それは、「自分の声を録音してみる」ということ。言葉にして伝える前に、自分の想いがどう聞こえるのかを確かめたかったのです。

スマホの録音ボタンを押し、話し終え、再生する。たったそれだけのことでしたが、流れてきた自分の声を聴いた瞬間、私は――愕然としました。

「うわっ……重たい……」

声に、想いが詰まりすぎていたのです。“届けたい”という気持ちが強すぎて、まるで圧のようにぶつかってくる。「こんな風に伝えたら、相手はきっとしんどく感じてしまうだろうな」そんな風に思って、私はそのメッセージを送るのをやめました。

声は“音”ではなく“心の波”だった

その体験を通して、私は初めて本当の意味で気づいたのです。

声はただの“音”ではない。声は、感情や想いという“波”を運ぶ媒体なのだと。

たとえば、言葉は変わらなくても――

怒っているときの「大丈夫」と本当に安心させたいときの「大丈夫」はまるで違って聞こえます。これは、声に乗るエネルギーが違うから。

つまり、「何を話すか」ではなく、「どんな状態で話しているか」が、伝わる印象を大きく左右するということです。そして、相手はそのエネルギーを無意識レベルで感じ取っているのです。

エネルギーを整えてから声に乗せるということ

それ以来、私は人と話す前に「自分の状態」を少し整えるようになりました。

▪️深呼吸をしてから話す

▪️相手に伝えたい“気持ち”を一度確認してみる

▪️「この言葉が、相手の心にどう響いてほしいか」を意識する

たったこれだけで、声のトーンも、言葉の届き方も、不思議と変わっていくのです。そしてそれは、人との関係性までも穏やかに、あたたかく変えてくれました。

声は、あなたの“生き方”そのもの

声に宿るエネルギーは、その人の心の状態や、日々どんな想いで生きているかさえ、滲み出させてしまいます。

言い換えれば、「声は、あなたという存在の今をそのまま表している」とも言えるかもしれません。だからこそ。

もっとやさしく伝えたいとき、大切な人と心を通わせたいとき、自分を信じて言葉を届けたいとき

「どんな気持ちで、その言葉を届けようとしているか」をぜひ一度、そっと内側で確かめてみてください。

あなたの声は、今、どんなエネルギーをまとっていますか?

そして――その声は、誰の心をそっとあたためようとしているのでしょうか?

声は、あなたのエネルギーそのもの。

言葉を伝える前に、あなた自身の“あり方”がもう、届いているのです。

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