変わっていく中でも、変わらずにあるもの
季節の流れに、自分だけが取り残されるような気がした日
季節が変わると、街の表情も少しずつ変わっていきます。服装や人の流れ、会話のテンポまで、なぜか違って見えることがあります。そんな移り変わりの中で、僕はふと立ち止まりました。まるで、自分だけが置いていかれたような気がしたのです。
職場の環境も、人間関係も、変化の波に飲まれるように進んでいく。
そのスピードに追いつこうと頑張っていたつもりでしたが、心のどこかでは、ついていけていない自分がいることにも気づいていました。
「本当に、これでいいんだろうか?」
「何のために、こんなに頑張っているんだろう?」
そういった問いが、心の奥に何度も浮かんでは消えていきました。それでも僕は、歩みを止めることなく、前へ進もうとしていました。自分でも気づかぬうちに、何かが背中を押してくれていた気がしていたのです。
変わっていく風景の中で、ふいに出会った“安心”
ある日、久しぶりに故郷に帰る機会がありました。降り立った駅の風景も、かつて通っていた坂道も、どこか変わっていました。それでも、なぜか心は落ち着いていたのです。歩きながら、ふと、ある人の言葉を思い出しました。
「KentaはKentaのままでいいんじゃない?」
その声を思い出した瞬間、胸の奥がじんわりと温かくなり、気づかないうちに、目に涙がにじんでいました。
変わっていくものばかりに目を向けていた僕でしたが、その言葉だけは、ずっと心の奥に残っていたのです。
見えないけれど、ずっとそばにあったもの
あの頃、僕は「変わらなきゃ」と焦っていました。
変化についていけなければ、自分が取り残されてしまうような気がして。でも、故郷であの言葉を思い出したとき、ようやく気づいたのです。
変わっていく中でも、変わらずにあったものがあった。
それは、大切な人の言葉かもしれませんし、自分が信じてきた想いや夢かもしれません。
姿や形は見えなくても、いつも心のどこかで、そっと支えてくれていた存在。言葉にならなくても、ただ“在り続けてくれたもの”の存在が、どれだけ心の支えになっていたのかを、初めて実感しました。
変わらないものがあるから、前を向ける
忙しい日々のなかで、私たちはつい、“今この瞬間の変化”にばかり目を奪われてしまいます。でも実は――どんなに周りが変わっても、ずっと変わらずにそばにあるものがあるのかもしれません。それが人であれ、言葉であれ、信じてきた想いであれ。
“変わっていくもの”を怖がるのではなく、“変わらずにあるもの”に気づけたとき、僕たちはもう一度、前に進む力を取り戻せるのだと思います。
あのときの僕のように。
変化の中で、ふと立ち止まってしまうとき。
自分だけが取り残されているように感じてしまうとき。
そんなときこそ、心に問いかけてみてください。
あなたの中に「変わらずにそばにいてくれるもの」はありますか?
もしその存在を思い出すことができたなら、きっと今日という日が、少しやさしく感じられるはずです。
