宅急便のお兄さんしか来ない

― 出会いは、待っていても届きません ―

ずっと欲しかったのは、「出会い」でした

英語を話せるようになりたい。
外国人の友達がほしい。
もっと世界を広げて、自分の視野も広げたい――。

そんなふうに願っていたのに、気づけば時間だけが過ぎていき、状況は何ひとつ変わっていませんでした。スマホを手に取り、「language exchange」「meet foreign friends」と検索しては、それっぽいアプリを開いて、数分後には閉じる。結局、何もしていない日々の繰り返しでした。

本当は、心のどこかでわかっていたのです。
動いていないのは、自分だということを。

でも、「失敗したらどうしよう」「話しかける勇気なんてない」そんな言い訳を並べて、目の前の一歩を先延ばしにしていました。

「出会いは、来ないよ」――その一言に背中を押された

そんなある日、信頼している知人に相談をしてみました。
「英語を話せるようになりたいし、外国の友達がほしいんですよね」

すると彼は、少し笑いながらこう答えました。
「家にいても来るのは、宅急便のお兄さんだけだよ」
思わず吹き出しましたが、内心では“ドキッ”としました。その言葉が、心のどこか深い場所に突き刺さったのです。

ああ、私はずっと“待っていただけ”だったんだ――

何かが変わるのを期待しながら、でも、自分からは何も動いていなかった。変わりたいと願いながら、“誰かが扉を開けてくれるのを待っていた”のだと、その一言が教えてくれました。

はじめの一歩は、ほんの少しの“勇気”でした

翌日。僕は、いつもとは違う服を選びました。ちょっとおしゃれをして、“外国人がいそうなカフェ”に行ってみることにしたのです。

たったそれだけのことなのに、心臓はバクバクでした。
「やっぱり無理かもしれない…」
そう思いながらも、席につこうとしたとき――本当に、そこに外国人の方がいたのです。そして僕は、思い切って声をかけてみたのです。

「Hi, sorry… do you mind if I sit here?」
きっと声が震えていたと思います。でもその方は、笑顔で「Sure!」と答えてくれました。

そこから自然と会話が生まれ、趣味の話、映画、東京のおすすめスポット―
まるで、昔からの友人のような感覚で話が弾んだのです。

「また会おうね」と言われて連絡先を交換したとき、僕の中で、何かが“パキン”と音を立てて割れました。

それは、「出会いは難しい」という思い込みの壁でした。

出会いは、迎えに来てくれるものではない

その日、僕が得た一番大きな気づきは――英語がうまくなる前に、必要だったのは“勇気”だったということです。

誰かとの出会いも、人生を変える瞬間も、じっとしているだけでは訪れません。

僕の中にあった“閉ざされたドア”は、スマホの中や、教科書のページの中では開けられませんでした。それは、自分の足で外に出て、誰かに会いに行ったときに、ようやく動き出したのです。そして今なら、あのとき知人がくれた言葉の意味が、はっきりとわかります。

「家にいても来るのは、宅急便のお兄さんだけだよ」

今の僕にとって、その一言は“人生を変えた魔法のフレーズ”でした。

行動こそが、未来のドアノブ

きっと誰もが、「新しい出会い」や「変化」をどこかで待っているのかもしれません。でも、待っているだけでは、何も起きない。

“行くこと” “話しかけること” “勇気を持つこと”――

それが、未来をひらくためのドアノブなのです。

あなたは今、どんな出会いを待っていますか?
その人は本当に、ドアの向こうに立っていますか?

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